管工事業とは

そもそも管工事って?

「管工事業」と聞くと一見なじみが薄い業界用語ですが、実は私たちの暮らしととても密接な技術です。
管工事業は「配管設備などの専門工事」。つまりキッチン、バス、トイレなどの水回り、エアコンのダクトなど、私たちの住まいのあらゆる設備に欠かせない工事です。
システムキッチン、ユニットバスなど水回りリフォームを行う際にはもちろん、中古マンションをリノベーションする際にも配管をすべて一新するなど、「管工事業」は新たな建築物が減っても、リフォーム・リノベーションニーズの高まりで、今後もますます重宝されるでしょう。

管工事業って具体的にどんなもの?

「管工事業(管事業)」は、建設業法第3条3項で定める29業種のうち1つです。
管工事を行うためには、軽微な建設工事を除いて建設業許可が必ず必要です。
建設業許可事務ガイドラインでは、「冷暖房、冷凍冷蔵、空気調和、給排水、衛生等のための設備、金属製等の管を使用して水、油、ガス、水蒸気等を送配するための設備」を工事の例示としてあげています。

身近な家電製品や設備で言うと、エアコン、冷蔵庫、システムキッチン、洗面、バス、トイレなどの上下水道、生活排水、ガスの供給、エアコン・クーラーの空調コントロールなど、住まいの設備全般に大きく関わる工事と言えるでしょう。
空き家が増加する現代、若い世代のファミリーも中古マンションを購入してリフォーム・リノベーションする住まいの選択肢がポピュラーになりました。こうしたファミリー層は物件の購入価格を低く抑えて、設備や内装にこだわるのも特徴です。こだわりのキッチンやバスを実現するために、古い配管をすべて一新する管工事は欠かせない技術。今後、ますますニーズが高まるでしょう。
ちなみに、2017年3月末の国土交通省の調査によると、「管工事業(管事業)」の建設業許可取得業者は全体の約18%で、とび・建築・土木などに次ぐ第5位。競合も増えていますが、ニーズもますます広がる管工事業は、ねらい目と言えるのではないでしょうか。

管工事業の建設業許可を取得するためには?

「管工事業」の建設業許可を取得するためには、どのような要件が求められるのでしょうか。
まず「経営業務の管理責任者がいること」などの共通要件を満たした上で、「営業所ごとに専任技術者の設置」が義務づけられています。この「専任技術者」は資格取得者または一定の実務経験者でなければなりません。

「専任技術者」の要件とされる資格として、1.建築業法(技術検定)における「1級管工事施工管理技士」または「2級管工事施工管理技士」2.技術士法(技術士試験)における・機械「流体工学」または「熱工学」総合技術監理(機械「流体工学」または「熱工学」)・上下水道総合技術監理(水道)・上下水道「上下水道及び工業用水道」・衛生工学総合技術監理(衛生工学)・衛生工学「水質管理」総合技術監理(衛生工学「水質管理」)・衛生工学「廃棄物管理」または「汚物処理」総合技術監理(衛生工学「廃棄物管理」または「廃棄物処理」)3.職業能力開発促進法(技能検定)の「配管技能士」4.水道法における「給水装置工事主任技術者」5.以下の民間資格取得後、実務経験1年以上・建築設備士(公益財団法人建築技術教育普及センター)・1級計装士(一般社団法人日本計装工業会)のいずれかが必要とされています。

実務試験の場合は、管工事の「実務経験10年以上」が要件となっていますが、修了した学科によっては、実務経験の緩和措置が設けられています。木工学、建築学、機械工学、都市工学、衛生工学に関するいずれかの学科を修了した高校・専門学校卒業生は実務経験5年以上、
同学科を修了した大学卒業生は実務経験3年以上となっています。

管工事の専任技術者への道は、習得しなければならない分野が幅広いという特徴がありますが、民間資格も含めると取得ルートが多く、専攻の大学などを卒業していなくても学びと経験で取得できる手段が多いと言えます。

管工事業に関する資格や協会は?

管工事業に関する資格はとして、国家資格である技能検定制度の「配管技能士」があります。配管技能士については、「建築配管作業」と「プラント配管作業」に分かれ、1級~3級まであります。学科試験として「施工法一般」「材料」「製図」「関係法規」「安全衛生」といった共通科目とそれぞれの選択科目と実技試験に合格し、1・2級の場合は計画立案等作業試験にも合格することで、配管技能士として認定されます。

管工事業の代表的な協会として国土交通大臣認可団体の「全国管工事業協同組合」があり、昭和35年設立の歴史ある団体で全国16,820社が所属しています。

(参考)
国土交通省 http://www.mlit.go.jp/
中央職業能力開発協会 http://www.javada.or.jp/
国土交通大臣認可団体 全国管工事業協同組合 http://www.zenkanren.or.jp/
一般財団法人全国建設研修センター http://www.jctc.jp/exam/kankouji-1
公益財団法人建築技術教育普及センター http://www.jaeic.or.jp/
一般社団法人日本計装工業会 http://www.keiso.or.jp/

管工事業の建設業者を見る