清掃施設工事業とは

そもそも清掃施設工事ってなに?

清掃施設工事という言葉だけ聞いても何を示すのかわからない方も多いかと思います。
国土交通省の調査によると、日本で定められている建設業許可業種29業種の中でも最も少ない企業数なので、馴染みがないのは当然の事かと思います。ここではそんな清掃施設工事についてご紹介していきます。

国土交通省が発行する「建設業許可事務ガイドライン」に記載されている「清掃施設工事の例示」として「ゴミ処理施設工事、し尿処理施設工事」が挙げられています。
「ゴミ処理施設」は普段の生活と密接に関わっている事もあり、わかりやすいかとは思いますが、「し尿処理施設」は更に聞きなれない言葉ではないでしょうか。
「し尿処理施設」とは、「し尿及び、浄化槽汚泥等を処理し、公共的水域へ放流するための施設」です。ここで述べられている「浄化槽」とは、水洗便所と連結して排泄物や汚水の処 理を行い、下水に放流するための設備を示します。
要するに「し尿処理施設」とは「糞尿の処理を行う施設」と認識いただいて相違ありません。
また「し尿処理施設」は人間の糞尿を肥料として活用していた日本独特の施設であり、1945年までは他国に同様の施設がなかったという特殊な歴史的背景もあります。

清掃施設工事業って?

ここでは清掃工事業に関する法的な観点について触れていきます。
「清掃施設工事業」とは建設業第3条3項で定められている29種類の建設業許可業種の1つです。平成29年3月末の国土交通省の調査によると、清掃施設工事業の許可取得企業数は458社とされております。29業種の内、最も少ない企業数となっており、また、建設業許可企業数が毎年減少しており、平成12年と比較すると半分近くにまで減少しています。
対象設備工事に公的な要素が強く、設備についても日本ではすでに整っていることから、メンテナンス中心となり、徐々に需要は少なくなっている可能性は否めません。

清掃施設工事業の建設業許可を取るためには?

清掃施設工事業の建設業許可取得のためには、経営業務の管理責任者がいることなどの共通要件に加え、専任技術者を配置していることが要件とされています。
この「専任技術者」になるために必要な資格が技術士法が定める「衛生工学」を修了した技術士、または上位の資格である「総合技術監理:衛生工学」を修了した技術士のいずれかになります。
これらの資格の取得方法については後ほど詳しく述べます。

また実際の工事現場では、要件を満たす「現場技術者」が1現場辺り1名配置されている事も必要です。
「現場技術者」の要件は「10年以上の実務経験」とされていますが、高等学校・高等専門学校・大学の指定学科の卒業により、求められる経験年数の短縮が可能であり、高等学校の卒業の場合は「実務経験5年」、高等専門学校・大学卒業の場合は「実務経験3年」に短縮されます。

清掃施設設備工事に関する資格や協会はあるの?

先ほど軽く触れましたが、清掃施設工事に関する資格として技術士における「衛生工学」と「総合技術監理:衛生工学」の2つが挙げられます。
「技術士」の受験資格は以降にあげる3つの方法で要件を満たす事ができます。
1つは、関する業務において、7年以上の実務経験を持つ監督者(勤務先の上司等)のもとで4年以上の実務経験を有する事。2つ目は、関する業務において、7年以上の実務経験を 有する事。3つ目に、「技術士補」として、4年以上の実務経験を有する事とされております。
「技術士補」の試験には、一切の受験資格要件がありませんので、どなたでも受験・資格取得が可能です。

「総合技術監理」は「技術士」における上位課程であり、「技術士」資格の取得後、7年の実務経験に加え、技術士2次試験を総合技術監理部門で受験し、合格する必要があります。

清掃施設工事業に関わる協会として、「一般社団法人日本環境衛生施設協会」が挙げられす。1962年に発足した協会であり、在籍する企業会員さんの受注割合が日本の90%以上である大きな協会です。
施工技術の向上や発展を目的として、ガイドブック・機関誌・事例集の刊行を行っています。

(参考)
国土交通省 http://www.mlit.go.jp/
公益社団法人日本技術士会 https://www.engineer.or.jp/
一般社団法人日本環境衛生施設工業会 http://www.jefma.or.jp/

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