しゅんせつ工事業とは

そもそも「しゅんせつ」ってなに?

「しゅんせつ」は正式には「浚渫工事」と書きますが、これはなかなか聞きなれない言葉であり、馴染みのない単語かと思います。
「浚渫」という漢字の持つ意味として、「浚」「渫」共に、「水底をさらう」という意味を持ちます。ここから地上で行われる工事ではなく、水上または水底で行われる工事であるということが想像できますね。
国土交通省発行の「建設業許可事務ガイドライン」の内容では、「河川、港湾等の水底をしゅんせつする工事」とされています。簡単に言うと、「川や湾の底をさらい、整備する工事」ということができます。

「しゅんせつ工事」はかなり特殊な工事ですので、ここでは工法もご紹介していきたいと思います。
「しゅんせつ工事」は、「ポンプ船しゅんせつ工法」と「クラブ船しゅんせつ工法」の2つの工法に大別することができます。
この2つは主に水底からさらう土質の硬さで使い分けられます。「ポンプ船しゅんせつ工法」は主に柔らかい土質の現場で使用され、特に大規模な港湾工事で威力を発揮する工法です。また、土砂を吸い上げる吸入口にカッターを取り付ける、ジェット水流で撹拌する、軟泥向けの特殊ポンプを取り付けることで幅広い土質に対応することも可能な工法です。
一方、「クラブ船しゅんせつ工法」はクラブバケットと呼ばれる合わせ貝のように対になったショベル開閉昇降することで、水底の土砂を取り除きます。大規模な工事は得意ではありませんが、深い水深でもしゅんせつ可能であり、深度による採掘力の変化がないことに加え、水底土砂の巻き上げ量が少ないことから環境保全の観点により、注目されている工法です。

しゅんせつ工事業って?

ここからは法制度の観点から「しゅんせつ工事業」をご紹介していきます。
「しゅんせつ工事業」とは、建設業第3条3項で定められている29種類の建設業許可業種の1つです。
平成29年3月末の国土交通省の調査によると、「しゅんせつ工事業」の許可取得企業数は1093社とされております。この企業数は29業種の内、10番目に多い企業数となっております。(10.0%)

ここで、何度かでてきている「建設業許可」について説明したいと思います。
「建設業許可」とは、工事を行う際に、必ず必要とされる認可です。
※ただし軽微な工事は除かれます。(500万以下)
この認可は国土交通省が制定したものであり、各都道府県に認可を行う窓口が存在します。
工事を行う際に必要とされる認可になりますので、建設業に関わる職人さんたちにとって非常に大切な認可になります。

しゅんせつ工事業の建設業許可を取るためには?

上記で述べた通り、建設業許可はとても重要なものになります。これがなくては建設会社さんは工事を請け負う機会を大きく失うことになしかねませんから。ここではそんな重要である建設業許可の取得方法を述べていきます。

しゅんせつ工事業の建設業許可の取得のためには、経営業務の管理責任者がいることなどの共通要件に加え、建設業を営む営業所ごとに「専任技術者」を配置していることが要件とされています。
しゅんせつ工事業の「専任技術者」として認められるためには、土木施工管理技士の1~2級または、技術士の建設部門の「総合技術術監理部門(建設)」・「鋼構造及びコンクリート」・「総合技術監理部門(建設「鋼構造及びコンクリート」)」のいずれかまたは、同じく技術士の内、水産部門の「水産土木」・「総合技術監理部門(水産「水産土木」)」のいずれかの資格を取得することにより、「専任技術者」の要件を満たすことが可能です。

また、上記の資格取得以外でも「専任技術者」の要件を満たすことができ、実務経験単体か指定されている学歴(土木工学または機械工学)と実務経験の足し合わせでも要件を満たすことが可能です。
実務経験単体の場合は、10年以上のしゅんせつ工事に関わった実務経験によって要件を満たすことが可能です。学歴との掛け合わせの場合は、高等学校卒業と5年の実務経験、大学・高等専門学校の卒業と3年の実務経験によって要件を満たすことが可能です。

上記2点以外にも会社の財産や該当する工事に関わる頻度なども要件とされていますが、まずはこの2点をおさえておきましょう。

しゅんせつ工事に関する資格や協会はあるの?

先ほど軽く触れましたが、しゅんせつ工事に関する資格として、「土木施工管理技士」と「技術士」が存在します。

「土木施工管理技士」は実地試験と学科試験があり、両方に合格することで初めて資格取得となり、受験資格として学歴・実務経験が必要とされております。
1級の場合は、大学卒業に加え3年以上の実務経験、短期大学・高等専門学校・専門学校「専門士」の卒業に加え5年以上の実務経験、または高等学校・中等教育学校の卒業に加え10年以上の実務経験が受験資格として必要とされています。
また、2級合格後5年以上の実務経験を有するか、15年以上の実務経験を有することでも受験資格を満たすことが可能です。2級の場合は、大学・専門学校「高度専門士」卒業に加え1年以上の実務経験、短期大学・高等専門学校・専門学校「専門士」の卒業に加え2年以上の実務経験、または高等学校・中等教育学校・専門学校「高度専門士・専門士以外」の卒業に加え、3年以上の実務経験が受験資格として必要とされています。また、8年以上の実務経験のみでも受験資格を満たすことが可能です。

次に「技術士」の受験資格について説明します。
「技術士」の受験資格は以降にあげる3つの方法で要件を満たす事ができます。
1つ目は、関する業務において、7年以上の実務経験を持つ監督者(勤務先の上司等)のもとで4年以上の実務経験を有する事。2つ目は、関する業務において、7年以上の実務経験を
有する事。3つ目に「技術士補」として、4年以上の実務経験を有する事とされております。「技術士補」の試験には、一切の受験資格要件がありませんので、どなたでも受験・資格取得が可能です。

「総合技術監理」は「技術士」の上位資格であり、「技術士」資格の取得後、7年の実務経験に加え、技術士2次試験を総合技術監理部門で受験し合格する必要があります。

しゅんせつ工事業に関する協会として、「一般財団法人日本埋立浚渫協会」が挙げられます。「一般財団法人日本埋立浚渫協会」は研究会や講演会の開催、工事実態・工法の調査などを行い、施工の効率化を推進し、しゅんせつ工事業の発展向上に貢献されています。

以上です。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

(参考)
国土交通省 http://www.mlit.go.jp/
公益社団法人日本技術士会 https://www.engineer.or.jp/
一般財団法人全国建設研修センター http://www.jctc.jp/
一般財団法人日本埋立浚渫協会 http://www.umeshunkyo.or.jp/

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